平成18年度から厚生労働省の補助金を受けて、行動援護の普及とサービス水準の確保、そのための従業者の養成に取り組んできた。本年度は、都道府県研修のインストラクターのパワーアップを図るための研修等を実施したほか、行動援護が量的な拡大に至らない事情を探るべく、先駆的な地域における活用事例と体制づくりの事例収集分析を行った。分析の結果、行動援護が活用されるためには、①市町村の行動援護に対する理解を深め市町村が支給決定プロセスにおいて対象者を確実に把握し利用を勧奨すること、②行動援護の量的拡大の基盤として自立支援協議会を有効に機能させ相談支援体制を充実させること、③市町村の地域生活支援事業の中で「お試し利用」の機会を設けることなどにより、行動援護のメリットを実感できるように工夫する、などの課題が明らかになった。これらの課題への的確な対応が「ニーズがない~事業者がない~ニーズが出ない」という悪循環を断ち切る重要な鍵になるとの結論に至った。