国立のぞみの園紀要
Online ISSN : 2435-0494
3 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 田中 正博, 大塚 晃, 加瀬 進, 高森 裕子, 戸枝 陽基, 福岡 寿, 山口 久美, 伊藤 寿彦, 井原 佳代, 大森 寛和, 桑原 ...
    2010 年 3 巻 p. 5-19
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成18年度から厚生労働省の補助金を受けて、行動援護の普及とサービス水準の確保、そのための従業者の養成に取り組んできた。本年度は、都道府県研修のインストラクターのパワーアップを図るための研修等を実施したほか、行動援護が量的な拡大に至らない事情を探るべく、先駆的な地域における活用事例と体制づくりの事例収集分析を行った。分析の結果、行動援護が活用されるためには、①市町村の行動援護に対する理解を深め市町村が支給決定プロセスにおいて対象者を確実に把握し利用を勧奨すること、②行動援護の量的拡大の基盤として自立支援協議会を有効に機能させ相談支援体制を充実させること、③市町村の地域生活支援事業の中で「お試し利用」の機会を設けることなどにより、行動援護のメリットを実感できるように工夫する、などの課題が明らかになった。これらの課題への的確な対応が「ニーズがない~事業者がない~ニーズが出ない」という悪循環を断ち切る重要な鍵になるとの結論に至った。
  • 小野 隆一, 渡邉 正幸, 小林 隆裕, 古川 愼治, 佐藤 孝之, 小島 秀樹, 瀬間 康仁, 芝 康隆, 新井 邦彦, 悴田 徹, 川田 ...
    2010 年 3 巻 p. 20-39
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    刑務所、少年院等の矯正施設を退所した知的障害者等に対して、地域生活への移行に向けた効果的な支援を行うことが社会的課題となっている。国においても平成21年度から矯正施設と福祉関係機関等との調整を行い、福祉サービスにつなげるコーディネイト役を担う「地域生活定着支援センター」事業が開始され、矯正施設退所後の地域での支援体制作りが各地で広がっていくことが期待されている。  こうした中、速やかな地域生活移行に向けて、大きな鍵となるのが、社会生活への適応支援を担う福祉施設等の役割である。しかし、効果的な支援方法については整備されておらず、先駆的に取り組んでいる施設等における支援の実態についても情報は限られていることから、矯正施設退所者を受け入れるにしてもどのように取り組むべきか手探りの状況となっている。  このため、福祉施設等における地域生活移行につなげる支援の実践事例を収集・分析し、効果的な支援プログラムを開発することにより地域生活移行を促進するとともに、地域生活移行後の定着支援プログラムを開発することで、地域の受け皿作りを進め、国の施策の推進に寄与することを目的とした。
  • ― 国立のぞみの園モデル構築に向けて(中間年度)―
    柳田 正明, 小澤 温, 金井 敏, 秋島 次郎, 原田 将寿, 岡田 みゆき, 浅田 明彦, 横澤 恒夫, 吉岡 幹, 藤原 喜介, 渡邉 ...
    2010 年 3 巻 p. 43-57
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2008年の社会福祉士及び介護福祉士法改正を受け、当法人では2009年に実習プログラムの改訂とプログラム・マニュアルの作成を行った。今年度は、昨年度開発した実習プログラム及びプログラム・マニュアルの評価・検証を行った。今年度当法人で相談援助実習を行う学生を対象に、実習前・中・後で質問紙調査を行った結果、支援計画、支援の対象者が利用者以外に家族や親族、後見人、利用者の友人となる内容については、実習中あるいは実習事後指導に教育機関と連携したフォローアップが必要となることが考えられた。また、最初の評価は高いものの実習中に様々な現実的な課題に直面することで評価が下がり、終了時に再び高まるパターンも確認された。これは、現実の課題の難しさに関わっていると考えられる。研究最終年度となる次年度は、学生の追跡調査を実施するほか、教育側の指導についても把握し、実習プログラム及びプログラム・マニュアルの改訂を行っていく予定である。
  • 森地 徹, 木下 大生, 相馬 大祐, 小島 秀樹, 皿山 明美, 清水 清康, 中島 穣, 早川 忠利, 高森 裕子, 松永 公隆
    2010 年 3 巻 p. 58-67
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    知的障害者入所施設からの入所者の地域移行について、入所施設、地域移行、地域生活の3時点の課題と支援を整理したところ、入所施設の時点では環境調整よりも本人に対する支援が中心となって行われていた。それが地域移行の時点では関係上の問題が課題の中心となり、支援においてそのための調整と訓練が行われており、地域生活の時点では課題も支援も多様になっていた。これを本人と環境との関係に着目して整理すると、入所施設の時点では環境に対する問題はあまり着目されておらず、支援は主に本人に対して行われていた。一方、地域移行の時点では環境においてその課題が見られ、環境調整支援が支援の中心となっていた。また、地域生活の時点では本人、本人と環境、環境に様々な課題が見られ、それらに対して環境調整を中心に支援が行われていた。
  • 木下 大生, 村岡 美幸, 有賀 道生, 井沢 邦英, 上原 徹, 六角 僚子
    2010 年 3 巻 p. 68-75
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、Debら(2007)によって開発された知的障害者用認知症スクリーニングテスト、Dementia Screening Questionnaire for Individuals with Intellectual Disabilities(DSQIID)の日本訳版を作成し信頼性を検討した。手順と方法は、原著者の許可を得て、バックトランスレーションの手続きにより日本語版を作成し、研究チームで内容妥当性を検討したのち、重度知的障害者施設に入所する13人(平均年齢.64.9歳±6.1)に対して本スケールを試行した。評定者は調査対象と半年以上の関わりがあるという原版の条件に従い、該当する生活支援員26名に調査を依頼し、1人の調査対象に対して、2人の評定者が各自2回評価を施行した。信頼性検討のため、Test-retest法および評定者間の一致率を求めた。結果は、Test-retest法の一致率は、0.96と高い一致率を示した。一方評定者間の一致率は、1回目の平均0.78、2回目の平均0.79、全2回すべての平均は0.79であった。Test-retest法の判定一致率は十分なものであった。一方評価者間の判定一致率は、やや不満足な結果となった。以上から、日本語版の評定者間の一致率向上について検討すべきであることが確認された。
  • 相馬 大祐, 村岡 美幸, 木下 大生, 森地 徹, 槻岡 正寛, 原田 みち子, 米本 哲也, 中島 穣, 高森 裕子, 早川 忠利, 松 ...
    2010 年 3 巻 p. 76-95
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本稿は、地域で生活する高齢知的障害者のサービス利用の実態と問題を明らかにすることを目的とする。本調査の結果、高齢知的障害者がサービスを利用する場合、①65歳間近になり、介護保険サービス、障害福祉サービスのどちらを利用するか検討している事例、②介護保険サービスを受給している事例、③障害福祉サービスを受給している事例、④介護保険サービス、障害福祉サービスを併給している事例が存在した。また、利用支援過程としては、利用意向の把握、支援者の判断、見立て、支援者の対応がそれぞれ行われていた。その結果から、高齢知的障害者に特化した問題として、要介護認定に関する問題、それに関する入所施設サービス新規利用の困難、高齢化に伴う身体的能力等の低下によるグループホーム・ケアホーム利用継続の困難、介護者の高齢化が考えられた。また、地域で生活する知的障害者に共通する問題として、入所調整における知的障害者更生相談所と市町村の連携や行政と相談支援事業所のパートナーシップなどが考えられた。
  • 森地 徹, 木下 大生, 井沢 邦英, 有賀 道生, 竹之内 章代, 稲嶺 裕子
    2010 年 3 巻 p. 96-105
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    知的障害者に対する医療受診サポートツールへのニーズは全国に存在すると考えられるが、その実態は明らかにされていない。本調査ではこの医療受診サポートツールの全国における作成状況を明らかにし、その作成背景、現状、今後の課題を明らかにすることとした。その結果、医療受診サポートツールの作成に際しては、医療のみに対応したものと生活全般に対応したものが見られ、双方とも関係団体が提案をして作成されるという背景が見られた。また、現状としては、広報や説明会を行っているが、活用が進んでいない状況も見られ、今後については、現状維持を基本としつつ必要に応じて見直しを行う状況が見られた。また、医療受診サポートに先駆的に取り組んでいる市川市では、医師会と親の会が互いに問題意識を持ち、相互に連携をして作成や普及啓発をしていることがわかった。これらのことから、医療受診サポートツールは、その普及において医療受診者側と医療提供者側との連携をとりつつ図ることが必要であることがうかがわれた。
  • 森地 徹, 古川 慎治, 湯浅 智代, 早川 忠利, 中島 穣, 高森 裕子, 松永 公隆
    2010 年 3 巻 p. 106-162
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    日本における知的障害者入所施設からの地域生活移行は、近年政策上その促進が求められているものの、本格化されてはおらず、その実態についてほとんど検証が行われていない。しかし今後、日本において知的障害者入所施設からの地域生活移行が本格化されることが期待されており、そのためには地域生活移行によって移行者がノーマルな生活を送れているか否かについて検証を行う必要がある。そこで検証を行った結果、日本の地域生活移行の現状では、移行者に生活環境の改善をもたらすものの、移行者の地域生活への適応が図られる状況には至っていないことがわかった。また、その要因には、移行者自身によるものと環境によるものがあることがわかった。これらのことから今後の地域生活移行を考えると、移行者自身と環境に着目して地域生活移行に伴う環境整備と移行者の地域適応への支援を行うことが必要になると考えられる。
  • ― 地域生活体験ホームにおける事例からの検討 ―
    浅田 実千代, 小野 隆一, 白石 真理, 浅田 明彦, 悴田 徹, 志塚 智香, 高橋 幸代, 毛呂 憲治, 木下 大生
    2010 年 3 巻 p. 163-171
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/12/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、知的障害者入所施設を利用する重介護を要する知的障害者が、地域生活移行をする際に必要となる事項を、地域移行過程における事例から検討した。 その結果、「支援者がより個人に特化した支援を行おうとする視点を持つこと」、「受け入れ側での介護レベルを落とさないこと」、「より確かなアセスメント力を持つこと」、「本人の日中活動の幅を広げようとする観点を持つこと」、「活動範囲を広げるための社会資源を見出す、また作り出していくこと」の5つの要素が重要であることを確認した。
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