2011 年 4 巻 p. 75-82
重度知的障害者が地域生活に必要なスキルを習得できるように支援を行うためには,日中活動として定期的に習得機会を設けることが必要だと考え,そのためのプログラムを作成することとした. プログラムは,「移動」「バス利用」等10個を用意し,平成21年4月から平成22年9月までに6回実施した.1回の期間は3ヶ月とした.各種プログラム項目や支援内容については,回毎に見直しを行いながら実施した. 当初は,「移動」「買い物」等のプログラムを用意し,それぞれを別々に実施することで地域生活に必要なスキルの習得をねらった.しかし,4回を終了したところで,生活は「流れ」であることに気づき,一人でホームの留守番から「電話」を受け「移動」をして「買い物」をして帰ってくるという日常生活でありそうな一連の流れについて職員を伴わないで実施をした.このプログラムを経験した利用者は「地域生活の自信」が芽生えていった様子がうかがえた.