国立のぞみの園紀要
Online ISSN : 2435-0494
特別養護老人ホームにおける知的障害者の実態に関する研究
―利用実態及び入退所に関する抽出調査から―
大村 美保志賀 利一五味 洋一相馬 大祐村岡 美幸
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2014 年 7 巻 p. 16-24

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抄録

高齢知的障害者の実態を明らかにすることを目的に,特別養護老人ホームにおける65歳以上の知的障害者の利用実態及び入退所状況を把握するための抽出調査を実施した.457ヶ所からの回答を整理した結果,知的障害のある入所者が特別養護老人ホーム入所者全体に占める割合は1.44%で,平成25年7月現在の特別養護老人ホームに入所する知的障害者数は全国で6,423人と推計された.また,平成24年度1年間で特別養護老人ホームに新規入所した知的障害者数は全国で1,671人と推計された.新規入所する知的障害者の入所理由は入所経路によって異なっていた.障害者支援施設からの入所では本人の心身機能の低下に施設の設備や支援が対応できないこと,家庭からの入所では本人の心身機能の低下及び家族を含めた在宅生活の支えの喪失,他の老人福祉・老人保健施設からの入所では急性期を過ぎたことや経済的事由及び家族に近い施設への移行が主なものとして挙げられた.1年間の退所は全国で400人と推計され,うち死亡退所が93.1%を占めた.地域で生活する知的障害者を支えるためのサービス及び支援の在り方について,高齢期となった知的障害者の居住の場とその経路を踏まえた検討が求められる.

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© 2014 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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