主催: 日本薬理学会
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2020 in 熊本
回次: 1
開催地: 熊本(オンライン)
開催日: 2020/11/21
今年も多くの自然災害が起きてきましたが、本学会開催地である熊本も令和 2 年7月豪雨により65人の方が亡くなり、今も多くの方が避難生活を送られておら れることに心からお見舞い申し上げます。
世界的に災害の頻度は増加傾向にあり、特に特徴的なのは 1990 年代以降の 水文学的災害 (hydrological disasters) が 2 倍以上に増加している点です。一方 で、自然災害による年間死者数は 1960 年台までは 1500 万人以上でしたが、世 界的な人口増加率を調整しても近年は 2 万人以下と大幅な減少が認められます。 減少の理由は、世界的な防災と減災への取り組みが、都市計画や地域開発に組 み込まれることにより、人びとがより安全な社会に住むことが可能になったこと
が1つ挙げられます。
上記の死者数には「災害関連死者数」は含まれていません。災害関連死は日 本特有の災害による被害の概念です。近年の災害被害では、災害事象による直 接死者数より災害関連死者数が多いことが報告されています。また、この災害 関連死には避難所などにおける環境が、二次的な健康被害を惹起することが研 究により報告されています。先進国であり、数々の災害経験を持つ日本でなぜこ のような事象が現在も起きるのでしょうか。国連が提唱するクラスターアプロー チを用いることにより、オールハザードに対する包括的な災害支援が可能にする、 二次的健康被害の予防について紹介したいと思います。また、早期からの環境 改善への支援の具体的方略として、令和 2 年 7月豪雨災害対応にて熊本県内で 使用されたラピッドアセスメントとその集計システムの実働について報告したい と思います。