主催: 日本薬理学会
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2020 in 熊本
回次: 1
開催地: 熊本(オンライン)
開催日: 2020/11/21
東日本大震災時に大きな問題となった避難所における要配慮者の生活不活発 病やエコノミークラス症候群などに対応すべく、2013 年に災害リハビリテーション
( 以下、リハ ) 支援を行う組織としてJRAT( 一般社団法人日本災害リハ支援協会: Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team) は結成された。平成 28 年 熊本地震において JRAT は組織後初の大規模災害リハ支援活動を約 3カ月行っ ている。
災害リハという言葉を聞いた際に,特別な活動を想像するリハ関連職種は 少なくない。筆者も熊本地震以降,複数の豪雨水害や台風被害における災害リ ハ支援活動に直接的または間接的に関わっているが,実際の活動に参画するま では同様の考えであった。災害リハを国際生活機能分類 (ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)に置き換えて考えると「 環境因子」 の急激な破綻が他の因子へ波及することを防ぐ取組みであり、活動の 中心となる災害時の要配慮者支援,避難所環境整備,生活不活発病予防,エコノ ミークラス症候群予防などは地域リハ活動の一環である。
令和 2 年 7 月4日未明から朝方にかけて降り続いた局地的な大雨により、熊本 県南を流れる球磨川は氾濫し熊本県南は大きな水害に見舞われた。JRAT 熊本 事務局は 4日早朝より情報収集を行い、事務局長の指示の下 JRAT 熊本の活動 準備をRRT(Rapid Response Team)を中心に開始した。被害地域は県南広域 に渡っていたが、最も被害が甚大であった人吉球磨地域へ支援チームを派遣す ることし、他の地域の支援活動は地域リハ広域支援センターに委ねた。今回は新 型コロナウイルスの影響もあり県保健医療調整本部には常駐せず、当院にJRAT 熊本本部、球磨地域振興局に設置した現地本部にロジ1 名を配置し、対面での やり取りは最小限として遠隔支援を行った。また、建設型仮設住宅等の JRATに とって優先度が高い会議のみ現地に赴き情報収集と提供を行った。派遣調整に ついては、新型コロナウイルスや被災地が遠隔であったことが影響し、チームの派 遣を躊躇する施設やキャンセルした施設もあった。今回は、災害リハについて全国 初となるコロナ禍における活動を通して報告したい。