主催: 看護薬理学カンファレンス
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2021 in 奈良
回次: 2
開催地: 奈良
開催日: 2021/11/13
私は 20 歳の時の思いがけない妊娠・中絶の経験をきっかけに日本の性教育や避妊について問題意識を持った。民間企業での勤務経験を経て、2013 年に NPO 法人ピルコンを設立。中・高校生向け、保護者向けの性教育講演、メールや SNSを活用した相談事業、海外の性教育教材の翻訳や政策提言等に取り組 んできた。
2020 年、新型コロナウイルス感染拡大の影響による意図しない妊娠、性暴力、DVなどの相談増加の懸念が広がったことをきっかけに、産婦人科医や市民団体・ 若者有志と共に「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」を立ち上げた。政府や関連団体に緊急避妊薬のアクセス改善を求める要望書や約12 万筆の賛同者を集めた署名を届け、意見交換を重ねてきた。
2017年のスイッチ OTC 化、また 2019 年緊急避妊薬のオンライン診療についての政府の議論では、「若い女性は知識がない」「若い女性が悪用するかもしれな い」「オンライン診療は性被害者に限ってはどうか」等の発言が委員からあったことに衝撃を受けた。当事者目線と科学的根拠に基づく議論がされていないと危 機意識を抱いてきた。2021年 5月に当市民プロジェクトより緊急避妊薬のスイッチ OTC 化の申請を厚生労働省に提出し、10月に同省による「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」に要望者として発表の機会をいただい た。WHOやFIG(O国際産婦人科連合)等のガイドラインも翻訳し、ファクトチェッ クシートも産婦人科医の協力のもと作成・公開している。資料は厚生労働省のウェブサイト(https://<ahref="http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198111_00015.html%EF%BC%89%E3%81%AB%E3%82%82%E5%85%AC">www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198111_00015.html)にも公</a>開されているので、ぜひご覧いただきたい。
緊急避妊薬はWHO の必須医薬品にも指定され、すべての女性が入手できる よう環境整備を求められている薬である。また、性教育や性暴力対策は言うまでもなく重要であるが、それが緊急避妊薬の OTC 化の前提条件になる根拠は 確認できない。そして、日本では普段の避妊法として避妊効果がそれほど高くないコンドームが主流であり、低用量ピルの高額さ、また避妊インプラントやパッチ、 腟リングなど、普段の避妊のアクセスへの課題もある。次回検討会の開催は2022 年 2月を予定されており、女性の健康と権利が守られる社会を実現するために皆 さんとできることを考えたい。