看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2021仙台
セッションID: 2021.3_S1-1
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シンポジウム1
在宅褥瘡管理を円滑に行うための皮膚・排泄ケア認定看護師のコンピテンシー
横野 知江
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抄録

地域包括支援システムの普及により、訪問看護利用者の増加に伴う在宅褥瘡保有者への対応は重要な課題である。2012 年以降、在宅患者訪問看護・指導 料、在宅患者訪問褥瘡管理指導料、退院後訪問指導料といった診療報酬制度が導入され、在宅褥瘡管理の質向上が期待されたが、算定実績は低く活用が進 んでいない。このような実態を踏まえ、日本創傷・オストミー・失禁管理学会はWOCN に対して在宅での活動推進のための支援策を提言している。これらの 取り組みはWOCNの在宅での活躍の後押しとなるが、それと同時に、WOCN自身が在宅で褥瘡管理を実践するためのコンピテンシーを獲得する必要がある。 そこで本発表では、「在宅褥瘡管理を円滑に行うための皮膚・排泄ケア認定看護師のコンピテンシーとは何か?」について研究成果を紹介する。

15 名のWOCN に半構造化面接をし、特徴的だったコンピテンシーは、まず 利用者に対して【介護者が継続可能な褥瘡ケアを提案する】ことであった。病院とは異なり利用者の多様な生活スタイルを受け入れ、最新ではなくとも継続可 能なエビデンスに基づいた褥瘡ケアを提供していた。在宅医に対しては【在宅医主導であることを意識し良好な人間関係を築く】ことであった。在宅では、主治 医主導で褥瘡管理の治療方針が決定されることが多い。また薬剤師の同行訪問は稀であり、WOCN 自ら薬剤師に相談することは少ないことから、在宅医と WOCN 間でドレッシング材や薬剤の処方に関して治療方針に不一致があった。しかし、在宅医と良好な人間関係を築くために、在宅医の褥瘡治療方針を尊重 していた。また、在宅におけるWOCN は、病院における褥瘡ケアチームのリーダー的立場とは異なり、在宅ケアチームスタッフに対して【褥瘡管理の観点から 在宅療養を支える一員であることを自覚する】という特徴があった。

さらに、病院所属のWOCN は、【病院と地域がつながる窓口をつくる】ことで 地域と連携していた。また、在宅で活動するためには【院内支援体制の構築】が不可欠であり、所属施設での高い調整力を備える必要性が示唆された。

これらのコンピテンシーは、WOCNが在宅で活躍するための要件であること から、WOCNの自己研鑽を期待すると共に支援策の一助になることを願っている。また、これらは、コロナ禍の活動であっても共通要件になりうると考えている。

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© 2021 本論文著者
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