看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2021仙台
セッションID: 2021.3_S1-2
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シンポジウム1
在宅看護事業所の皮膚・排泄ケア認定看護師による遠隔褥瘡コンサルテーションの実際
岡部 美保
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抄録

新型コロナウイルス感染症の蔓延は、在宅医療や訪問看護の現場においても深刻な影響を及ぼしています。地域の訪問看護事業所に対し実施していた、皮膚・排泄ケア認定看護師(以下、WOCN)による訪問看護師への同行訪問は、コロナ禍における感染予防の観点から制限せざるを得ない状況になりました。このような状況下、新たに情報通信機器を用いたオンラインによる、遠隔褥瘡コンサルテーション(以下、遠隔 褥瘡コンサル)での相談対応を開始しました。

遠隔褥瘡コンサルは、訪問看護師に対し、東京大学が開発した褥瘡記録用アプリ CARES4WOUNDSを用いたビデオ通話を通して、褥瘡を有する在宅療養者の情報 共有、全身・褥瘡状態のアセスメントと評価、療養生活環境のアセスメント、褥瘡ケアの提案などを実施しています。

これまで、訪問看護師への同行訪問による褥瘡コンサルテーションでは、移動時間を含めると平均約3時間を要していました。一方、遠隔褥瘡コンサルは、移動の時間的・身体的な負荷がなく効率的で、コロナ禍における感染リスクの低減にもつながります。また、ビデオ通話による画像や映像を用いた双方向の相談支援は、初対面の療養者や訪問看護師であっても、画面越しに対面できることから、安心感を持って対話ができます。さらに、WOCNと訪問看護師間での褥瘡状態評価や提案内容の共有に齟 齬がなくなり、安全で確実な画一した褥瘡ケアの実践と継続を可能とします。

今回、遠隔褥瘡コンサルを実施した褥瘡を有する在宅療養者は、DESIGN-R2020による評価において評点の減少を認め、治癒や改善に至りました。遠隔褥瘡コンサルは、褥瘡を有する療養者に、地域や療養場所を選ばず、専門性の高いケアを提供でき ることにより、在宅褥瘡ケアの質向上に貢献すると言えます。

遠隔褥瘡コンサルにおける訪問看護師に対する褥瘡教育においては、WOCNの 持つ褥瘡ケア技術の伝達などに関する課題もあります。

本シンポジウムでは、在宅 WOCNが地域の訪問看護師に実施した、遠隔褥瘡コン サルの実際と効果を報告します。

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© 2021 本論文著者
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