主催: 看護薬理学カンファレンス
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2021 in 仙台
回次: 3
開催地: 仙台
開催日: 2021/12/11
国内外において不妊治療件数や治療による出生児は漸増しており、多くの苦悩を持つ対象者への不妊ケアは喫緊の課題です。不妊治療を受ける患者様は治 療の身体的負担からストレスが大きく、Quality ofLife(QOL)も低下します。特に 女性は実際に治療を受ける機会が多いため、85% の受療者がストレスを感じており、男性よりもストレス、不安、抑うつ等の精神的苦悩が大きく、精神的・経済 的負担、夫婦関係の悪化に悩みを抱いています。
一方、男性に対する調査は僅少ですが、ストレスを感じていること、QOL が低 下することも明らかになっています。看護者にとって、女性が精神的苦悩を最少にして治療に臨めるために、パートナーである男性への看護ケアも課題です。
生殖におけるQOL は精神的苦悩と負の相関関係にあり、QOL 向上には精神 的苦悩緩和が必要です。不妊治療中の人々にとって生活の質を保つことは重要であり、臨床実践における包括的アプローチとしてQOLを考慮したファティリティケ アの必要性が提唱されています。よって、男女双方へのストレス改善、QOL向上 の介入が必要といえます。筆者らの調査によると、不妊治療を受ける男性の QOLが低い要因は、不妊期間の長さと男性因子、配偶者サポートの低さ、精神的苦悩 の高さでした。
筆者はこれまでに、不妊治療を受けるカップルの理解と協力であるパートナー シップ支援に着目し、カップル対象のパートナーシップ支援プログラムの開発に取り組んで参りました。その結果、女性には精神的苦悩の低下に効果があること が明らかになりました。現在は、covid-19の影響および仕事等で忙しく施設での プログラム受講が難しい患者様にも在宅で受講できる方法として、不妊治療中の 男性に対するQOL低下防止および精神的苦悩軽減を目指すオンラインプログラ ムに取り組んでおります。
本シンポジウムでは不妊治療を受けておられる患者様の男女双方に対する パートナーシップ支援について、お話させていただきます。