看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2022横浜
セッションID: 2022.3_S1-3
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シンポジウム1
化学療法中の子どもが食べられない時どうしている? 多職種で行う協働ケア!
*坂田 友
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抄録

小児がんの治療には、化学療法や放射線療法、造血幹細胞移植などがある。

これらの治療に伴う嘔気・嘔吐、粘膜障害、味覚異常、食欲不振などの症状によ り、子どもは食べられない状況となる。小児がん治療による口腔粘膜障害の発生 は、40 ~80%にみられ、一度発生すると骨髄抑制などの影響により症状の悪化 が生じやすい。症状に伴う苦痛により口腔ケアが思うようにできず、更に悪化する という悪循環を招きやすく、"食べる"ことが困難となる。また味覚の変化は、味 を感じにくい、あるいは強く感じてしまうことや、食感の変化により今まで好きだっ たものが「食べられない」「食べてもおいしくない」ことから"食べる"という行為が 進まない状況となる。さらに、食欲不振は、長期間"食べる"ことができなくなり 低栄養に陥りやすい。このように、治療中の子どもは、身体症状により食べられ ない期間が生じやすく、状況が長引くことで栄養障害に陥りやすい。さらに低栄 養は、治療にも影響を及ぼす可能性がある。"食べる"を維持するためには、早期 介入が重要である。治療前から歯科と連携し、定期的な受診と口腔ケアの習慣 化、味覚異常や食欲不振に対しては、栄養士と連携し食事内容や食事形態の変 更、さらに苦痛の強い時期は、緩和ケアチームへの介入依頼など、多職種との協 働が重要となる。看護師は、子どもの症状をアセスメントし、必要なケアを提供 できるよう工夫していく。

"食べる"という行為は生きるために必要なだけでなく、日々の生活を豊かに してくれる。それは小児がんの子どもにおいても同じである。さらに子どもにとっ て"食べる"とは、成長発達を促し、食習慣の獲得、QOL においても重要となる。 しかし、治療に伴う食事制限や病院の規則により子どもの"食べる"という気持ち に沿えない状況がある。JCCG 施設調査によると小児がん治療中に何らかの食 事制限を行っている施設は、約 8 割であった。また、入院中の小児がんの子ども の生活に対する家族への調査では、78% の家族が「子どもが病院食を全く食べ ない」と捉えていた。食欲が回復した時期には、食べたいと思えるような工夫も 重要となる。当院では、個別対応食の導入や子どもの要望を取り入れた行事食の 提供を行っている。

治療中の症状の強い時期の子どもと家族への関わりはもちろんだが、食べられ る時期の関わりについても紹介し、看護師の役割について考えたい。

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© 2022 本論文著者
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