看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2024東京
セッションID: 2024.1_S1-2
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シンポジウム1
冷え症のヘルスプロモーションに求められる看護職の技
*中村 幸代
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抄録

冷え症は、身近で誰もが知っている言葉であるが、そのリスクについてはあまり知られていない。演者は、博士前期課程在学中に「妊婦の冷えが分娩に及ぼ す影響は何か?」というクリニカルクエスチョンに出会い、それがリサーチクエス チョンとなり、以来周産期の冷え症に関する研究を進めてきた。その研究結果 から、冷え症が早産のリスクを3.4 倍に増加させる可能性があることが示唆され、 特に高齢妊婦ではその傾向が顕著で、40 歳以上では 5.1倍にもなることが判明 した。これらの結果は、急速に進行する出産高齢化において、迅速な対策が求 められていることを示している。

我々の研究結果より、冷え症は妊婦の日常生活の行動変容により改善される ものの、単に一時的な改善ではなく、生活に根ざした持続的な変容が必要であ るが、このような変容を妊婦が単独で継続することが困難であった。そのため、 助産師が積極的に関わり、妊婦の支援を行う必要があることが示唆された。し かしながら、先行研究によれば、病院や診療所で冷え症の支援を行っていたの はわずか 36.1%であり、この支援も冷えの有無を口頭でスクリーニングするなど に留まっており、効果的な変容を促す支援とは言えなかった。その背景には、看 護職における冷え症への知識不足が課題として存在するこが示された。この課 題を解決するために、我々は現在、看護職の冷え症に対する知識を高めるための「冷え症教育プログラム『冷エール』」の開発と、冷え症ケア実践のための尺度開 発を進めている。

今回は、女性の生涯の健康を支える看護実践に必要な技をテーマに、『冷エー ル』の中の、妊婦が冷え症のヘルスポロモーションを実施するために求められる「看護職の技」について紹介する。

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© 2024 本論文著者
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