主催: 看護薬理学カンファレンス
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2025 in 幕張
回次: 1
開催地: 幕張
開催日: 2025/03/20
近年、周産期医療において硬膜外麻酔を使用した分娩が増加しています(以下、麻酔分娩)。2020 年の日本産婦人科医会による調査では、麻酔分娩は分 娩取扱施設の約 26%で実施されており、我が国の全分娩の 8.6%が麻酔分娩に よるものと報告されています。2016 年の調査では、実施率 6.1%だったので、増 加の一途をたどっています。しかしながら、麻酔分娩の安全確保体制は実施施 設に任せられており、安全と快適性の確保には課題があります。
そのような背景を受けて、2018 年に、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(The Japanese Association for Labor Analgesia:JALA)が組織されました。 目的は、「我が国における安全な無痛分娩の提供体制を構築するために必要な 施策等について継続的に検討し必要な情報を共有することを通じて、相互に協 働し連携した活動を展開できる体制を整備し、安全で妊産婦の自己決定権を尊 重した無痛分娩とその質向上を実現する」ことです。
安全な麻酔分娩を提供するには、分娩に関わる産科医師、小児科医師(新生 児科医師)、助産師に加えて麻酔科医師とも協働してチーム形成していくことが 必要です。とは言え、医師と助産師では学問的背景や可能な治療行為も異なり ます。お互いの職能への理解不足から、分業になっていたり、情報が共有されて いなかったりしていないでしょうか。同じ目的に向かってはいても、明確に役割 分担してしまうと、結果的に産婦の安心・安全につながっていないこともあります。 むしろお互いが違うことを認識し、職能を理解する必要があります。分かり合う ためには、コミュニケーションをあきらめないことが大事です。チームで協働しな がら取り組むことが、女性とその家族にとって最良の結果を提供することにつな がります。
本シンポジウムでは、まずoverviewとして麻酔分娩の動向を紹介し、お二人 のシンポジストにつないで、麻酔分娩の理解を深めていく構成です。周産期医療 における麻酔分娩の実際を概観し、医師と助産師の協働について考える機会に なればと思います。