看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2025大阪
セッションID: 2025.2_ES2
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看護薬理学教育セミナー2
緊急避妊薬の情報提供と課題
元林 有紀
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抄録

2025 年 8月、厚生労働省は、医師の処方箋不要、薬局での対面販売を前提として緊急避妊薬を販売することを了承した。本剤は「要指導医薬品」に指定され、 諸条件はあるが、準備が整い次第、市販薬として販売開始される見込みである。

現在、日本において、緊急避妊薬の入手には処方箋が必要であるが、緊急避 妊薬の市販化が既に実現している国は多数ある。WHO(世界保健機関)は、意 図しない妊娠のリスクを抱えた全ての女性には緊急避妊にアクセスする権利が あり、緊急避妊の複数の方法は国内のあらゆる家族計画プログラムに常に含ま れなければならないとの旨を勧告しており、緊急避妊薬を必須医薬品と位置づ けている。さらに、WHO は、新型コロナウイルスパンデミック下、市販化の検討 を含め、緊急避妊へのアクセスの改善を世界各国へ提言している。

日本では、今もなお望まない妊娠により女性が孤立した結果、虐待や乳児 遺棄となる事件は後を絶たない。これは、望まない妊娠をした場合の対応方法 が社会で十分に認知されていないことや、誰かに相談することへの心理的な負 担、緊急避妊薬の自己負担額が安価ではないこと等、様々な問題が関与してい る。日本における緊急避妊薬の普及は、未だ充分とは言えない。市販化に至るま での議論には、緊急避妊薬は特別な薬ではなく、多くの女性の健康を守るため に必要な薬であるため、より身近なものでなければならないとの意見がある一方、 これらの悪用や安易な使用を懸念する意見もある。今後、緊急避妊薬の市販化 により、入手方法の選択肢が増えるため、医療機関との連携や投薬時の情報提 供がより重要となる。

今回、緊急避妊薬と併せて、経口避妊薬、経口中絶薬との違いをもお伝えす る。さらに、緊急避妊薬を投薬する際、医療従事者が提供すべき情報や注意点、 さらに緊急避妊薬市販化により生じ得る今後の課題についても共有する。

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© 2025 本論文著者
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