理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: GP338
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小児疾患
重症心身障害児・者における理学療法効果判定
個別効果判定システム:TELERの紹介
*木下 義博吉田 勇一
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抄録
【はじめに】我々理学療法士は、重症心身障害児・者(以下、重症児・者)に対する理学療法効果判定のための適切な手段を持っているだろうか?現在小児理学療法の分野で用いられているGMFMやPEDIなどの標準化された評価法では、彼らの小さくてゆっくりした変化を捉えることができないことを臨床上強く感じている。様々な障害の程度を持つ子どもたちに対し、すべて同じ尺度で変化を捉えることは難しいため、重症児・者に対する治療効果判定のための新しい尺度が必要となってくる。昨年度より個別効果判定法の1つであるTELER(Treatment Evaluation by le Roux Method)システムについて実践してきた結果、興味深い知見を得ることができたので、今回実際の症例に基づいて紹介する。【方法】TELERは従来の標準化された評価法とは全く異なっており、うまく工夫された臨床記録の取り方のシステムである。特徴として、3つの異なるインディケーター(ファンクション、コンポーネント、クイズタイプ)を使い、それぞれ個々の子どもに合わせコード0から5の6段階の目標群を作成する。そしてその目標到達度によって効果判定を行うものである。記録の方法としてTELERフォームという用紙に日時、治療プログラム、目標達成度などを記載しながら子どもの経時的な変化を捉えていく。【対象】院内入所者1名、外来利用者1名【結果】今回、3つのインディケーターの中で特にファンクション(ある特定の機能を6段階に分類したもの)とコンポーネント(ある課題に必要な構成要素を列挙したもの)のインディケーターを用いて治療プログラムを実施した。その結果、他の標準化された評価法では示すことができない日常場面に即した臨床上重要な変化を捉えることができた。またTELERフォームを利用することで、療法士が行ったこと、その時子どもにどのような変化が起きたかなど一目で理解することが可能となった。【考察】重症児・者と家族及び介護者は、日常場面で様々な困難さを持ちながら生活している。その両者の生活支援のために、理学療法の必要性は大きくTELERはその意義を証明するための1つの手段になりうるものである。またTELERは子どもや家族にとって彼らの変化を表すための有効な手段であると同時に、我々療法士にとって単なる評価法ではなく、治療や対策に直結したシステムとなっている。そのため適切にこのシステムを使用していくには療法士の質が大きく関与しており、各インディケーターの作成など反復した学習が必要となる。その結果として理学療法そのものの質的な向上につながる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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