抄録
本研究では、マンガのローカライズに注目して、翻訳者が翻訳システムを利用する場合、その作業内容と役割にどのような変化が生じるのかについて考察した。その結果、翻訳者は従来の作業と比べ、作業量が増える一方、翻訳システムの利用によってマンガ翻訳の品質と効率が向上する可能性が示された。また、翻訳システムを利用すると、トランスレーター・スタイルの表出方法にも変化が起こり、それは翻訳者によるトランスレーター・スタイルの弱体化、および機械翻訳に手作業を加えることで生まれた多元化現象を引き起こすということも示された。