日大医学雑誌
Online ISSN : 1884-0779
Print ISSN : 0029-0424
ISSN-L : 0029-0424
原著
ブルガダ症候群での心室細動誘発に対するキニジン静脈内投与による抑制効果
芦野 園子渡辺 一郎小船 雅義奥村 恭男大久保 公恵中井 俊子平山 篤志
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 67 巻 5 号 p. 299-303

詳細
抄録

症候性ブルガダ症候群 (BS) に対する突然死の予防に関しては現時点では植え込み型除細動器 (ICD) が唯一の有効な治療法とされている.しかし近年 BS のICD 頻回作動例においてキニジンの内服により心室細動 (VF) 発作が抑制されたなど,キニジンの有用性がいくつか報告されている.そこで我々は BS の右室流出路心筋の有効不応期,活動電位持続時間およびその回復特性に対するキニジン静脈内投与の効果について検討を行った.対象は男性の無症候性ブルガダ症候群 5 症例.ST 上昇のタイプは Brugada-type-1 が 1 症例,type-2 が 3 症例,type-3 が 1 症例であった.電気生理学的検査ではコントロール時,全例で VF が誘発された.キニジン投与後 4 例で VF が誘発不能となった.その理由として,キニジン投与後右室流出路の有効不応期は延長し,また活動電位持続時間の回復曲線の最大の傾きが減少したことが VF 発生を抑制したことに関連していると考えられた.

著者関連情報
© 2008 日本大学医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top