2011 年 70 巻 6 号 p. 283-286
Abdominoscrotal hydrocele (以下,ASH) は陰嚢水腫が鼠径管を介し,腹腔内に交通しているまれな疾患であり,その発生機序と治療法は未だ一定の見解は得られていない.今回,我々は ASH を鼠径管アプローチに腹腔鏡を併用することで完全切除した症例を経験した.症例は 11 ヵ月の男児.左陰嚢腫大を主訴に来院した.超音波検査にて腹腔内に連続する陰嚢水腫を認め,ASH を疑い,MRI にて診断した.手術は腹腔鏡を併用して鼠径法による水腫摘出を行った.術後経過は良好で現在まで再発は認めていない.腹腔鏡を併用することは ASH の形態的評価が可能であり,安全かつ確実に切除することが可能であるため非常に有用である.