日大医学雑誌
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特集
災害時の DMAT 活動と役割
山口 順子丹正 勝久
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2012 年 71 巻 1 号 p. 10-13

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抄録

DMAT は正式名称 Disaster Medical Assistance Team (災害派遣医療チーム) の略称で,災害発生時,「防ぎ得た災害死」 を一人でも少なくするため,超急性期 (概ね発災から 48 時間以内) の災害医療を展開する医療チームである.阪神・淡路大地震における 「防ぎ得た災害死」 を教訓に,本邦における日本版 DMAT 構想が進められ,平成16 年 8 月東京都は全国に先駆けて東京 DMAT を発足させた.さらに平成 17 年 3 月の厚生労働省 「日本 DMAT隊員養成研修会」 が開始され,平成 23 年 6 月末現在で882 チーム,約 5,300 名の隊員が登録されている.2011 年 3 月 11 日におきた東日本大震災では 47 都道府県より約 380 チーム,約 1,800 名の DMAT チームが尽力した.当院 DMAT も発災初日より出動し,自衛隊固定翼機による 19 名の外傷患者搬送のうち,福島空港における 3 名の広域医療搬送業務に従事した.災害超急性期災害医療活動を効果的に実施するため,当院 DMAT も個人能力の維持及びチーム能力の向上に励むとともに,災害超急性期に限定せず,災害医療のエキスパートとして包括的な災害医療体制整備に尽力することが望まれる.

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© 2012 日本大学医学会
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