日大医学雑誌
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原著
小児血液疾患患児に対する脾摘出後の感染症予防についての後方視的検討
七野 浩之大熊 啓嗣西川 英里下澤 克宜平井 麻衣子加藤 麻衣子谷ヶ崎 博陳 基明
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2014 年 73 巻 1 号 p. 22-25

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抄録

当院の小児脾摘出後状態の患者12 例における脾摘出後の重篤な感染症(Overwhelming postsplenectomy infection: OPSI) 対策につき後方視的に検討した.対象は1999 年から2011 年に当院で脾摘出術を行った12 例で,男4 例・女8 例,遺伝性球状赤血球症7 例・慢性型免疫性血小板減少性紫斑病5 例である.脾摘出時年齢は4~21 歳(中央値8 歳)で,脾摘出後の経過年数は2 年4 か月から14 年4 か月である.全例に23 価肺炎球菌ワクチンを,2 例にインフルエンザ菌b 型ワクチンの接種を術前に行った.脾摘出後抗菌薬内服は全例でペニシリンG の投与が行われたが,7 例で中断し,継続は5 例(2 年4 か月~11 年1 か月,中央値5年0 か月)である.OPSI 様の重症感染症を1 例で認めた.OPSI 予防には,術前に行う肺炎球菌とインフルエンザ菌b 型に対する予防接種に加え発熱時の速やかな対応についての患者教育が重要である.

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© 2014 日本大学医学会
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