日本釀造協會雜誌
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醤油の「ナフトール」反應に就て (第二報)
麹酸の新定量法並に醤油諸味に於ける運命 (其二)
深井 冬史中島 和作
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1930 年 25 巻 11 号 p. 18-21

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抄録

一、衣笠、辰濃兩氏の提出したる「β-ナフトール」檢出反應を麹酸に適用したるに其十萬分の一溶液に於て明かなる反應を表し百萬分の一に於て痕跡の存在を認むることを得たり
二、前記反應を利用して麹酸を比色的に定量する方法を案出したり
三、著者の案出したる麹酸の新比色定量法を用ひ醤油諸味中に含有せらる、麹酸を各時期に於て定量したり
四、醤油諸味中に含有せらる、麹酸量は仕込後約三十六日にして極大に達し其含量〇・〇六〇一%を算し仕込後五十一日目より順次減少して約四ケ月後に於ては全く痕跡の存在を表はすに過ぎず
五、諸味の麹酸は醗酵促進の目的にて諸味に一年經過諸味の少量を添加したる直後より著しき減量を表はし諸味の酒精醗酵最も旺盛なるべしと思惟せらる、仕込後三ヶ月或は四ヶ月に至りて全く痕跡の存在を表はすを認むるが故に醗酵作用に對する麹酸の意義又看過すべからざる事實なりすと
終りに望み多量の麹酸試料を賜り種々御助言を得たる松本博士に深厚なる謝意を表す

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