日大医学雑誌
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シンポジウム
抗NMDA (N-Methyl-D-Aspartate) 受容体脳炎の確立とその動向
亀井 聡
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2014 年 73 巻 2 号 p. 103-105

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抄録

2004 年に本症の存在を我々は初めて提唱した.その後,2007 年にDalmau により卵巣奇形腫に関連する脳炎として確立した.本症は,若年成人女性で精神症状にて発症し,急性期に精神症状で発症し,意識障害・痙攣,中枢性低換気から人工呼吸器を装着するなど,急性期に重篤な病像を呈し,かつ遷延経過を示すも,長期予後は良好であり,特異な臨床像を示す.今回は本症の独立性を提唱させていただいた立場から,抗NMDA 受容体脳炎の動向を述べる.診断は,このような脳炎の症候を呈し髄液または血清中に抗体を検出することによる.治療は,迅速に腫瘍を検索し,確認されたら早期切除をおこない,併せ第一段階として副腎皮質ステロイド薬のパルス療法・血漿交換療法・ガンマグロブリン大量静注療法を投与する.しかし,軽快しない場合には,積極的なサクロホスファマイドやリツキシマブによる免疫抑制剤の使用が第二段階として薦められている.本症は,早期の適切な治療が必要なNeurological Emergencyの疾患であり,神経内科のみならず関連各科の理解と迅速な対応が重要といえる.

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© 2014 日本大学医学会
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