日大医学雑誌
Online ISSN : 1884-0779
Print ISSN : 0029-0424
ISSN-L : 0029-0424
症例報告
直腸癌術後に発症したCEA 上昇を伴う非浸潤性乳管癌の一例
谷 眞弓和賀 瑛子松本 京子大久保 貴生櫻井 健一天野 定雄楠美 嘉晃
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 73 巻 6 号 p. 259-262

詳細
抄録

[症例]73 歳,女性.[既往歴]21 年前直腸癌(Stage III) 手術.腫瘍マーカーは正常値であった.[経過]外来経過観察中術後19 年後よりCEA 軽度上昇(7.0ng/ml) を認め,精査するも原因ははっきりしなかった.2 年後,右乳頭より血性分泌を認め,細胞診が施行され,Class IIIb の結果であった.[検査所見]乳房腫瘍触知せず.マンモグラフィ異常なし.超音波検査にて乳管内病変を認めた.PET 検査が施行されるも悪性病変はっきりせず,他の乳癌関連の腫瘍マーカーは正常値であった.エコー下針生検にてCarcinoma.ER/PR (+)/(+),HER2 0,CEA は17.6 ng/ml と上昇していた.乳房切除術後CEA は4.6 ng/ml と正常値となり,現在再発所見は認めていない.[結語]本症例はCEA 上昇により再発を疑うも,原因は不明で,2 年後に非浸潤性乳管癌治療後CEA が正常化した稀な一例を経験した.

著者関連情報
© 2014 日本大学医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top