2016 年 75 巻 3 号 p. 128-131
症例は妊娠31 週の40 歳女性.頸管炎の合併による切迫早産に対して塩酸リトドリンの持続点滴静注を行い,投与24 時間後に急速に進行する呼吸不全を呈した.胸部レントゲンで肺門部中心のびまん性浸潤影を認め,塩酸リトドリンによる肺水腫を疑い薬剤を中止し,胎児の低酸素血症によるリスクを考慮し緊急帝王切開術を施行した.術後も呼吸不全が進行したため,非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation; NPPV) での呼吸管理を行い,軽快した症例を経験した.本薬剤に伴う肺水腫に対してNPPV は有効な治療選択肢であると考えられた.