2016 年 75 巻 3 号 p. 132-135
90 歳以上の超高齢者乳癌の治療方針は明確にされていない.個々の患者の併存疾患や生活環境に応じた治療をしたので報告する.〔症例1〕92 歳,女性.現病歴は,約1 年前に右乳房腫瘤触知.局所麻酔下に単純乳房切除術を施行した.病理組織学的診断は,浸潤性硬癌T2 N0 M0 ER(+) PgR(+) であった.術後,ホルモン療法を施行している.〔症例2〕94 歳,女性.現病歴は,約6 年前より左乳房腫瘤触知.近医にて針生検を施行され乳癌の診断を得る.本人の希望によりホルモン療法を施行していたが,局所進行したため局所麻酔下にBt 施行.病理組織学的診断は,浸潤性硬癌 T2 N1 M0 ER(+)PgR(+) であった.〔まとめ〕超高齢者乳癌に対して,QOL を考慮し,生活環境に準じた治療を経験したので報告した.