日大医学雑誌
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症例報告
寒冷凝集素症の先行により診断が遅れた 温式 AIHA 合併 SLE の一例
金丸 峯雄河村 千春遅塚 明貴小島 理絵野崎 高正
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2019 年 78 巻 3 号 p. 151-156

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抄録

我々は初診時に自己免疫性溶血性貧血 (auto immune hemolytic anemia, AIHA) と寒冷凝集素症 (cold agglutinin disease, CAD) を認め CAD による AIHA と考え るも,最終的に SLE に伴う温式 AIHA と診断,治療に より改善を得た症例を経験した. 他院に狭心症で入院した 66 歳女性.狭心症改善後, 乳癌,十二指腸癌に加えクームス陽性の溶血性貧血,寒 冷凝集素価 256 倍の寒冷凝集素症も認められた.血液内 科専門医不在のため当院に転院となった.低力価寒冷 凝集素症による AIHA と診断し加温輸血を行ったが効果 を認めず.不規則抗体が検出され不規則抗体適合血を輸 血するも溶血反応が悪化し,直接抗グロブリン試験結 果より温式抗体 AIHA が疑われた.その後抗核抗体,抗 DNA 抗体に加え抗カルジオリピン抗体も陽性と判明, リンパ球数 1,000/μl 未満も認め SLE と診断した.プレ ドニゾロン 1 mg/kg にて治療し貧血を含む各種症状は改 善した.続発性溶血性貧血の原因疾患を考える上で示唆 に富む症例と思われ報告する.

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