2022 年 81 巻 4 号 p. 193-196
慢性骨髄性白血病 (CML) の患者の予後は,チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) の臨床応用によって劇的に改善した. 現在,わが国では 5 種類の TKI(イマチニブ,ニロチニブ,ダサチニブ,ボスチニブ,およびポナチニブ)が利用可能である.しかし,いまだに一部の患者では TKI に十分な治療反応を得られない.また,TKI 不耐容となる有害事象の発生は治療継続を困難にする重大な懸念である.日本と米国では,新しい作用機序を持つ CML 治療薬であるアシミニブが日常診療で利用可能となった.本稿では,新規 CML 治療薬であるアシミニブの特異的な作用機序について概説する.この薬剤は,CML 発症の本質的なドライバーである BCR-ABL1 融合タンパクのアロステリック調節を標的としている.さらに,アシミニブを臨床応用に導いた最新の臨床試験についても説明する.