日大医学雑誌
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原  著
陰嚢部痛を呈する小児精索静脈瘤の治療効果の検討
小野 賀功後藤 俊平澁谷 知香子橋本 大和菅原 大樹山岡 敏平野 隆幸星 玲奈細川 崇上原 秀一郎
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2023 年 82 巻 6 号 p. 345-348

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抄録

【はじめに】小児精索静脈瘤は様々な症状を呈する.精巣容積左右差,陰嚢部腫瘤は外科治療で改善が期待できる.しかし陰嚢部痛の外科治療効果に関する詳細な報告はない.今回,当科の小児精索静脈瘤を後方視的に検討し,陰嚢部痛に対する治療効果を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】対象は 2016~2021 年に当科で手術を施行した 6 例の小児精索静脈瘤とした.手術は腹腔鏡下内精血管切離術を行った.術前後の症状の変化,精巣容積を評価した.【結果】症例 1(10 歳,精巣容積左右差あり,Dubin andAmelar’s 分類 G1),症例 2(12 歳,精巣容積左右差あり,陰嚢部痛あり,G3),症例 3(10 歳,陰嚢部痛あり,G1),症例 4(10 歳,G2),症例 5(14 歳,G2),症例 6(14 歳,G3)であった.術後に陰嚢部腫瘤と精巣容積左右差は改善した.陰嚢部痛はその他症状の重症度に関わらず改善した.術後合併症は認めなかった.【結論】小児本症の外科治療は陰嚢部痛にも治療効果がある可能性が示唆された.

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© 2023 日本大学医学会
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