2024 年 83 巻 1 号 p. 27-32
フローサイトメトリーは免疫学,血液学,そして臨床診断など医科学領域において非常に重要なツールであり,その基本的な仕組みは蛍光色素標識した細胞に光を当て,散乱光や蛍光を計測することで個々の細胞の持つ情報を読み取るというものである.本稿では,フローサイトメトリー実験手技の基本原理を紹介し,フローサイトメトリーの多色化(ハイパラメータ化)にとりわけ貢献した,レーザー,光学検出器および蛍光色素の発展の流れを概説する.そして,活用編として,ハイパラメータ化フローサイトメータの利点を活かした,我々のがん免疫療法分野の実験例を,注意点と共に詳説する.最後に,今後さらに発展が見込まれるフローサイトメトリーの次世代技術として,従来型に比して多くの蛍光パネルを使用可能なスペクトル型セルアナライザーおよび人工知能を活用した技術であるゴーストサイトメトリーを解説する.