日大医学雑誌
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症例報告
椎骨動脈窓形成に併発した解離性椎骨動脈瘤破裂の 1 例
岸 匡蔵大谷 直樹小林 真人梶本 隆太勝原 隆道吉野 篤緒
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2024 年 83 巻 4 号 p. 157-160

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抄録

椎骨動脈における窓形成 (fenestration of the vertebralartery: FVA) は椎骨動脈 (vertebral artery: VA) に見られる稀な血管変異である.今回我々は,FVA に合併した VA解離動脈瘤の破裂を経験したので報告する.症例は 60 歳代の男性.突然の頭痛と意識障害で発症し,精査の結果,左後下小脳動脈 (posterior inferiorcerebellar artery: PICA) 分岐部から VA union に至る左 VA解離性動脈瘤の破裂と診断され,さらに FVA が見られた.PICA 分岐直後で proximal occlusion を施行するとともに解離腔へ灌流する FVA も閉塞させた.術後は神経学的所見はなく,離床に向けてリハビリテーション病院へ転院された.FVA は動脈瘤との合併が示唆されている.本症例では,解離部と同様に FVA も閉塞させることで良好な転帰が得られた.直逹術による proximal occlusionの際,解離腔に関与する FVA の存在も念頭に置く必要があると思われる.

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