2026 年 2 巻 1 号 p. 6-14
[背景]⽇本栄養精神医学研究会は2016 年の創⽴以来「メンタルヘルスは⾷事から」を学術的理念に掲げてきた。2025 年に創⽴10 周年を迎え、同年10 ⽉12 ⽇の創⽴10 周年学術総会で正式に学会へ名称変更し、「栄養精神医学(Journal of the Japanese Society of Nutritional Psychiatry:JJNP)」を創刊したが、その後の経緯は、まだ⼗分に記録されていない。
[⽬的]学会への移⾏から法⼈化、認定制度の構築、教育体制の整備、国際的な学術交流の開始に⾄る約⼀年間の歩みを、⽇本における栄養精神医学の歴史的記録として整理する。
[内容]2026 年4 ⽉1 ⽇、学術活動と認定の最終判断を担う⽇本栄養精神医学会(JSNP)と、教育・⼈材育成を担う⽇本栄養精神医学協会(JANP)を構築した。認定制度は、医師・⻭科医師を対象とする栄養精神医学認定医・指導医、医療系・栄養系国家資格者を対象とする認定師・指導師を含む専⾨資格と、サポーター・アドバイザー・カウンセラーの普及資格、そして医療機関型・カウンセリング型の認定施設からなる。本学会では、所定の教育課程および認定要件を満たしたサポーター以外の資格者を、学会が掲げる「⾷と⼼(Food & Mind)」の考え⽅を臨床・教育・⽀援・地域活動において適切に活⽤する「⾷と⼼の専⾨家」と位置づけ、原則3年ごとの更新制を採る。2026 年6 ⽉時点で会員数は1,000 名を超える。また、認定施設は83 施設(医療機関型44・カウンセリング型39)、認定資格者はサポーターを除いて281 名(認定医129 名、指導医73 名、認定師88 名、指導師36 名、アドバイザー32 名、カウンセラー47 名の資格保持者のべ405名)に達した。国際的には、筆者が2025年より国際栄養精神医学会(ISNPR)公式機関誌『Nutritional Psychiatry』の編集委員兼査読者を務め、本学会は2026 年11 ⽉に台湾で併設開催されるマインド・ボディ・インターフェース国際シンポジウム/ISNPR 地域会議(MBI 2 026)でシンポジウムを企画予定である。
[結論]法⼈化と認定制度の構築は、栄養精神医学の信頼性・継続性・社会的責務を担保する基盤となる。ただし、規模の拡⼤と臨床の質の担保とは別の課題であり、本制度はなお「確⽴」ではなく「構築・始動」の段階にある。栄養医学的アプローチを補完として位置づけ、質の保証、⽇本⼈を対象としたエビデンスの国際発信を次の課題とする。