市立大町山岳博物館研究紀要
Online ISSN : 2432-1680
Print ISSN : 2423-9305
長野県北西部におけるアカバナの生活史および繁殖特性
日本産草本植物の生活史研究プロジェクト報告第7報
千葉 悟志
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キーワード: アカバナ, 生活史, 繁殖, 開花, 結実
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2016 年 1 巻 p. 63-69

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抄録

アカバナ属アカバナEpilobium pyrricholiphumは,湿地にみられる多年草植物で,種子繁殖する一方,匐枝を伸ばして繁殖する半地中植物とされる. しかしながら,一連の生活史を細部にわたり紹介した例はこれまでにないことから,アカバナの生活史をはじめ,開花および結実の繁殖特性について,観察を進めたところ,秋播きおよび春播きに関わらず,発芽後,成長の早い個体では1年目で開花個体に至り,夏から秋にかけて地上茎の節から対角線上に匐枝を伸ばして,複数のラメットを形成する一方,親個体はその年に枯死することが明らかになった.また,花は開閉花であることが明らかになったが,訪花昆虫相に貧しいうえ,訪花頻度も低く,また,1個花のみであっても結実するほか,隔離した個体にも結実が認められることから,自家和合性であることが考えられた.

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© 2016 本論文著者
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