抄録
本書簡は2020(令和2)年度に市立大町山岳博物館が開催した企画展「博物学と登山 ―大正登山ブームと信州理科教育のさきがけ―」における展示資料で、2016(平成28)年の同館収蔵以降、これが初めての展示公開となった。これは1905(明治38)年に牧野が志村に宛て執筆した書簡で、その内容は、かねてから依頼を受けていた植物標本の同定に関した連絡などである。このとき志村が牧野に同定を依頼していた標本というのは、志村が1904(明治37)年に白馬岳等で採集したヒメウメバチソウとシロウマオウギの高山植物2種であった。両種は牧野によって、いずれも新種として植物学分野の学術誌に記載されている。本書簡について詳細な画像や翻刻等を掲載することで、その資料情報を広く共有したい。