2023 年 54 巻 p. 6-7
複数の成分が不定比で混ざり合うことにより構築された多孔質フレームワークは、機能の段階的な調整、さらには機能の創発が可能であるため注目されている。しかし、設計指針の確立に必要な精密な結晶構造解析は依然として困難である。本研究では、ヘキサヒドロピレンとピレンをそれぞれ主骨格にもつ2つのテトラカルボン酸を共結晶化することにより非化学量論的組成の水素結合性フレームワークの構築を達成した。単結晶X線構造解析により単結晶中の成分比を決定したところ、任意の割合で不定比共結晶フレームワークが構築されることが示された。さらに、単結晶を用いた顕微ラマン分光により、各成分は不均一に分布していることが明らかになった。