産業医学レビュー
Online ISSN : 2435-1059
Print ISSN : 1343-6805
産業保健に関わる判例とその流れ
岡田 邦夫
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2015 年 28 巻 1 号 p. 51-77

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抄録
職場における精神障害の労災申請が増加し、労災認定のみならず民事損害賠償についても求償される事案も多くなっている。また、安全配慮義務違反や不法行為に基づく被災労働者に対する損害賠償は、時として極めて高額となる事例もあり、企業経営に影響を及ぼしかねないリスクとなりつつある。さらに、損害賠償について会社法が適用され、健康管理を担当する役員個人に対して損害が求償されるようになった。このような状況の中で、産業保健スタッフも最近の労働現場における司法判断の流れを把握することで、労働者に対する健康障害を防止するための方策を学び取らなければならない時代要請があるように思う。司法判断の変遷は、法律の改正のみならず産業保健の考え方や取組にも大きな影響を及ぼすことになる。昨今の判決の意味するところを理解することで、現状の産業保健の課題を把握し、今後の産業保健の方向性を見定めなければならない。判例はそのひとつの方向性を示している。
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© 2015 公益財団法人 産業医学振興財団
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