抄録
グローバル化の進展により日本人の海外勤務者数は年々増加しており、海外滞在中に健康問題をおこすケースも少なくない。こうした海外勤務者の健康問題は自然環境、衛生環境、ライフスタイル、医療環境などの変化により生じるもので、とりわけ衛生環境の変化に由来する感染症は重要な健康問題になっている。海外勤務者の健康管理のうちでも、駐在員を対象にした対策は既に多くの企業で実施されているが、海外出張者についてはほとんど行われていないのが現状である。今後、海外派遣企業では、産業保健総合支援センターや海外渡航者の専門外来であるトラベルクリニックなどを利用することで、海外勤務者の健康管理対策を充実させていくことが必要である。