抄録
組織の公正と従業員の健康との関連についてのコホート研究や断面研究によって、組織の公正が低いことがうつ病、精神的不調、睡眠障害、バーンアウト、いじめなどのメンタルヘルスのリスク要因であるだけでなく、冠動脈疾患、血圧、メタボリック症候群などの身体的疾患のリスク要因であることが明らかになった。さらに、組織の公正が会社への病気報告、医療機関受診行動、疾病休業、復職、労働安全に影響することも明らかにされた。組織の公正を高めることが従業員の健康の向上に有用であることが示唆されたことから、今後は組織の公正を高めるプログラムの効果を検証する介入研究の成果が期待される。