抄録
法治国家において法専門家の存在は欠かせないが,彼らは歴史的に必ずしも市民の側に立つものではなく,ときに高圧的ですらあった.現在ITの進歩は情報面において,市民と法専門家の非対称的状況を打破しつつある.とはいえ,全体的にはやはり法専門家の市民に対する優位性は明らかであろう.ここで焦点となるのは市民の法専門家活用能力である.
法の教育はそうした市民に欠如している能力を高める,極めて重要な契機であると考える.市民と法専門家がともにかかわり,ともに成長する法の教育教材・プログラムの可能性について具体的理論ならびに事例を提示し,一定の緊張を有する市民―法専門家関係の再構築について論じる.