日本内分泌外科学会雑誌
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症例報告
喉頭浸潤のある甲状腺乳頭癌の手術症例―反回神経および喉頭機能を温存しえた1例―
花牟禮 豊, 下薗 知己, 永田 圭, 積山 幸祐
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2024 年 41 巻 2 号 p. 139-144

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抄録

甲状腺乳頭癌の多くは緩徐な進行を示し比較的予後良好な腫瘍であるが,甲状腺被膜外に浸潤し,反回神経や気管,喉頭,あるいは食道や縦隔へ進展する症例も散見される。今回,われわれは,術前に反回神経麻痺はなく,甲状軟骨に浸潤する甲状腺乳頭癌の一例を経験し,手術にて甲状腺全摘術および喉頭枠組みを切除する喉頭部分切除術を行った。術中神経モニタリングを用い,喉頭部分切除側の喉頭内外の反回神経走行を確認の上,反回神経を保存し喉頭機能を温存することができた。甲状腺乳頭癌は,症例により術後も長期予後が見込める。反回神経や気管への浸潤に対しては,甲状腺腫瘍診療ガイドラインにおいて推奨される治療法が記載されているが,喉頭浸潤に対しては明確な指針はない。喉頭浸潤例においても根治性と術後の音声機能,嚥下機能を犠牲にしないQOLを考慮した術式の選択が重要であり,術中神経モニタリングは極めて有用であった。

はじめに

甲状腺乳頭癌の多くは緩徐な進行を示し比較的予後良好な腫瘍である。しかし,甲状腺被膜外に浸潤し,反回神経さらに気管,喉頭,あるいは食道や縦隔へ進展する症例も稀ではない[1~3]。その浸潤部位ならびに浸潤深度に応じて治療方針が異なる。気管や反回神経への浸潤に対する対応については多くの報告があり,甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018版においても推奨される治療法が記載されている[4]。一方,喉頭浸潤に対しては,ガイドラインに記載はなく,明確な指針はない。

喉頭は,気道としての機能のみでなく音声機能,嚥下機能に関連しており,喉頭に浸潤する甲状腺乳頭癌の手術に際しては,これらの喉頭機能についても考慮した症例ごとの術式選択が求められる。術後も長期予後が見込める症例が多いため,根治性と術後の音声機能や嚥下機能などQOLを考慮した術式選択が必要である。

今回,われわれは,術前に反回神経麻痺はなく,甲状軟骨に浸潤する甲状腺乳頭癌の一例を経験した。手術にて甲状腺全摘術および喉頭部分切除術を行った。術中神経モニタリングを用い,喉頭部分切除側の喉頭外および喉頭内反回神経の走行を確認し,反回神経をおよび喉頭機能を温存することができた。症例の詳細を提示し,甲状腺乳頭癌の喉頭進展症例に対する治療について若干の文献的考察を加えて報告する。

症 例

患 者:69歳 女性。

主 訴:頸部腫瘤。

既往歴:特記事項なし。

現病歴:数10年前から右頸部に腫瘤があり徐々に増大していた。近医を受診し当院外科を紹介された。頸部CTを撮影し,甲状腺腫瘍の喉頭浸潤を認めたため当科紹介となった。

局所所見:両側声帯の可動性は良好であった。また,喉頭内視鏡検査にて喉頭内腔に異常所見は認めなかった。甲状腺右葉頭側に腫瘤を触知し,甲状軟骨に固着し可動性は不良であった。皮膚表面に異常はなく,その他,頸部には腫大リンパ節は触知しなかった。

頸部超音波検査所見:甲状腺右葉上極に境界不明瞭,内部不均一で粗大石灰化を伴う腫瘍を認めた。右上内深頸リンパ節領域に辺縁不整で内部不均一な類円形の腫大リンパ節を認めた。

CT検査所見:甲状腺右葉上極に不整形な腫瘍を認め,内部は不均一に造影され,粗大石灰化も混在していた。甲状軟骨外側および輪状軟骨外側に腫瘍が接していたが,甲状軟骨内腔への浸潤は認めなかった(図1)。右内頸静脈は腫瘍側に牽引されていた。右顎下腺との境界不明瞭であり浸潤の可能性が示唆された。複数個の周囲リンパ節は軽度腫大し転移が疑われた。肺野に転移を疑う所見は認めなかった。

図1.

術前造影CT画像(A,B,C:軸位断,D:冠状断):甲状腺右葉上極に粗大石灰化(矢印)を含む不整形,内部が不均一に造影される腫瘍(矢頭)を認める。甲状軟骨外側および輪状軟骨外側に腫瘍が接しているが,甲状軟骨内腔への浸潤は認めない。

PET/CT検査所見(図2):甲状腺右葉の粗大石灰化を有する腫瘍性病変に高度の集積を認めた(SUVmax=10.7)。頸部リンパ節転移を示唆する異常集積はなく,遠隔転移は認めなかった。

図2.

PET画像(A:軸位断,B:冠状断,C:全身像):甲状腺右葉の腫瘍性病変に高度の集積を認めた(矢印)。遠隔転移は認めなかった(C)。

細胞診検査:診断:悪性 N/C比の高い異型細胞が乳頭状やシート状の集塊に多数出現していた。集塊の細胞密度は高く,砂粒体も散見された。ごく少数,核内封入体や核溝も認められ,乳頭癌が疑われた。

血液検査(基準値):TSH 1.391μIU/ml(0.4~4.3),FT4 1.07ng/dl(0.8~1.6),サイログロブリン28.9ng/ml(0~33.7),抗Tg抗体 13IU/ml(0~27),抗TPO抗体:<9IU/ml(0~15)であり,いずれも基準値内であった。

臨床診断:甲状腺乳頭癌(cT4aN1bM0)。

臨床経過:患者と家族に臨床診断や治療方法について説明し,治療方針について,根治手術すなわち甲状腺全摘,右頸部外側区域郭清,両側中央区域郭清,喉頭部分切除術を行う方針となった。手術に伴う音声障害,嚥下障害などの合併症と危険性についても説明し,喉頭部分切除術では右反回神経を可及的に保存するが,もし反回神経切除を要する場合には,①喉頭内神経断端が確認でき,頸神経ワナが保存可能であれば,頸神経ワナを用いて反回神経と吻合を行う,②喉頭内神経断端が確認できない場合,披裂軟骨が保存可能であれば披裂軟骨内転術を行う。その際,披裂軟骨筋突起の固定は輪状軟骨外側に行うこととした。また,予防的気管切開術は行わないが,必要時には行う承諾を得た。

手術所見:気管挿管チューブはNIM TriVantageTM(日本メドトロニック株式会社,東京,日本)を使用し,NIM-Response 3.0(日本メドトロニック株式会社,東京,日本)を用いて術中神経モニタリング(IONM)を行った。はじめに甲状腺左葉を挙上し左D1郭清を行い,次に右D2b郭清を行った。甲状腺腫瘍は内頸静脈に一部癒着し剝離困難であったため,内頸静脈側壁の一部を合併切除し静脈壁は縫合閉鎖した。右胸骨舌骨筋・胸骨甲状筋の尾側を切断し,舌骨直下で右胸骨舌骨筋,甲状舌骨筋を切断した。右反回神経を輪状咽頭筋下縁まで確認し1mAの刺激にて神経モニターで反応を確認した。甲状腺腫瘍は喉頭と癒着しており,甲状軟骨外側縁にて咽頭収縮筋を切断し,梨状陥凹粘膜を剝離し保存した。甲状軟骨正中にて軟骨を露出し正中から約5mm右外側にて縦に軟骨切開を加え,甲状軟骨膜下に剝離した。甲状軟骨内側面に明らかな腫瘍は認めず,甲状軟骨下縁にては輪状甲状筋を摘出側に含めた。輪状軟骨外側にも癒着しており輪状軟骨の一部を切除側に含め輪状甲状関節と共に,腫瘍を含む甲状腺両葉,右甲状軟骨板,右輪状甲状筋および前頸筋さらに右顎下腺と頸部郭清組織を一塊として摘出した(図3)。気管切開術は行わなかった。また,閉創前に左右の反回神経中枢側および迷走神経の刺激を行い反回神経の健全性を確認した。

図3.

術中写真。A:甲状腺全摘・右頸部郭清・喉頭部分切除後の術野,B:喉頭部分の拡大術野。CCA:総頸動脈,IJV:内頸静脈,V:迷走神経,RN1:反回神経,RN2:喉頭内反回神経。

病理組織学的検査:甲状腺右葉上極に30×25×23mmの結節を認め,乳頭癌の浸潤性増殖を認めた(図4)。腫瘍は甲状腺外へ広がり,周囲の筋組織および甲状軟骨,顎下腺へ浸潤していた。甲状軟骨下端から裏面の一部に腫瘍浸潤を認めたが,切除断端に腫瘍の露出は認められなかった。また,右頸部中央区域リンパ節(Ⅲ)および右頸部外側区域リンパ節(Ⅴb,Ⅵ)に転移を認めた。最終診断は,乳頭癌 pT4a,pEx2,pN1bであった。

図4.

病理組織像(HE染色)。A:乳頭状の浸潤性増殖を示す腫瘍が甲状軟骨下縁(TC)を超えて進展している。B:腫瘍細胞は乳頭癌に特徴的な核溝(矢印)や核内細胞質封入体(矢頭)を認める。

術後経過:術後呼吸困難はなく,手術翌日に喉頭内視鏡検査を行い,両側声帯の可動性が良好であることを確認した。反回神経麻痺は認めなかった。また,右声帯および右披裂部の軽度浮腫を伴っていたが気道狭窄は認められなかった。術後1日目から軟菜粥食にて経口摂取を開始し誤嚥は認めず,経過良好にて術後7日目に退院となった。術後2カ月の喉頭内視鏡検査では,右声帯は前後長が短縮しているものの発声時の声門閉鎖は良好であった(図5)。音声はやや低音で粗造性であり,音声の聴覚心理的評価(GRBAS scale)は,G1R1B0A0S0と満足できる音声であった。また,嚥下障害はなく経過しており,音声機能および嚥下機能の保存が可能であった。術後にI-131アブレーションを計画したが,承諾が得られず,また,術後放射線外照射も行っていない。術後3年が経過し局所再発や遠隔転移など異常は認めない。

図5.

術後喉頭内視鏡所見(術後2カ月目)。

A:安静時,B:発声時。右声帯(矢印)の可動性は良好であり,発声時には声門閉鎖を認める。右梨状陥凹(rPS)に少量の唾液貯留を認める。

考 察

甲状腺乳頭癌の予後は比較的良好であり,10年生存率は90%以上を示す。日本人のリスク分類別,年齢別の疾患特異的生存率は,55歳以上のハイリスク群を除いては極めて良好であり,20年疾患特異的生存率は96%以上を示す[5]。しかし,甲状腺被膜外浸潤が前頸筋以外に及ぶ場合はハイリスクであり[4,6] ,55歳以上のハイリスク群は80.6%まで低下する[6]。特に気管浸潤と喉頭浸潤が危険度の高い予後不良因子であり[2,7,8] ,その対応には予後や術後QOLを考慮した慎重な判断を要する。

気管や喉頭への浸潤頻度については,施設や年代により差がみられ,甲状腺癌全例の3.6%から22.9%と差が大きい[1]。Honingsらは,1971年から2007年に報告された20施設からの10,251症例の集計から全症例の5.8%に喉頭あるいは気管への浸潤を認めたと報告している[1]。単施設からの報告では,Mayo Clinicの1940年から1990年の甲状腺乳頭癌浸潤例の37%に気管浸潤,12%に喉頭浸潤を認めている[9]。Memorial Sloan Kettering Cancer Centerでの1986年から2010年の甲状腺分化癌手術症例3644例についての報告では,甲状腺外浸潤を153例(4.1%)に認め,その浸潤部位は反回神経51.6%,気管46.4%,食道39.2%,喉頭31.4%であったと報告されている。喉頭への浸潤は甲状腺分化癌手術症例の1.3%と稀である[3]。

本邦からの報告でも浸潤部位の多くは気管や反回神経であり,西川ら[10]によると2000年から2015年の喉頭気管浸潤例の浸潤部位は,気管93%,反回神経22%,輪状軟骨26%,甲状軟骨浸潤19%と報告している。また,山田ら[11]は1993年から2011年の甲状腺乳頭癌372例の中で72例に周囲臓器浸潤があり,喉頭浸潤はその中で13例(甲状腺乳頭癌の3.5%)に認めたと報告している。

甲状腺癌の喉頭浸潤率はその報告年代により差があり1980年代や1990年代には10%以上の高い率も含まれるが[1],2010年以降の報告では低い値であり,最近の症例での甲状腺分化癌の喉頭への浸潤は,1.3~3.5%程度と思われる[3,11]。喉頭浸潤率の低下は,甲状腺癌の診断技術の進歩により甲状腺に限局するT3a以下の症例が早期に発見され,手術症例の全体数が増えているためと考えられ,喉頭浸潤症例数が減少したとは考えにくい。

甲状腺被膜外浸潤症例の手術法については,気管および反回神経への浸潤に対する対応においては多くの報告があり,甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018版においても記載されている。すなわち,気管への浸潤に対しては,シェービング,気管窓状切除,気管環状切除が行われる。反回神経浸潤については,術前に反回神経麻痺を認めない場合には,癌を遺残させないよう神経から鋭的に剝離(いわゆるシェービング)し,神経を温存することが推奨されている[4]。また,Kiharaらは,シェービングにて径の1/2以上切離した症例でも75%で声帯麻痺が回復したと報告し,神経径の1/2程度まではシェービングも可能と報告している[12]。反回神経切除を要する場合には,即時反回神経再建術が行われ,残存する反回神経の状態により,神経縫合術,神経移植術,あるいは頸神経ワナなどを用いた神経移植術が推奨される[4]。

一方,喉頭浸潤に対しては,甲状腺腫瘍診療ガイドライン2018版において記載はなく,明確な指針はない。浸潤範囲や深達度に応じて,剝離,シェービング,喉頭部分切除術,あるいは喉頭亜全摘術や喉頭全摘術が行われていると思われる。喉頭部分切除術には,喉頭枠組み切除術や垂直部分切除術が含まれる。気管切開術を要する例も多く,気管切開口閉鎖の可否によって術後QOLが影響される。術後も長期予後が見込める症例が多いため,根治性と術後の音声機能や嚥下機能などQOLを考慮した術式選択が必要である。

喉頭浸潤例に対する手術手技については,甲状軟骨や輪状軟骨への浸潤程度,喉頭内腔への浸潤の有無や,反回神経麻痺の有無によっても様々な術式が考慮される。甲状腺乳頭癌の喉頭浸潤例の臨床データについては多くの報告がみられるものの長期経過をみたエビデンスレベルの高い比較研究はなく,術式選択については議論のあるところである。腫瘍浸潤部位のシェービングでも根治的切除でも予後に差はないとの報告もあるが[7],2014年のAmerican Head and Neck Sociaty, Endocrine Committeeにおける,甲状腺分化癌浸潤例の取り扱いに関するConsensus Statementでは,喉頭への部分浸潤に対しては喉頭機能を犠牲にしない病変切除(shave excision)が好まれ,喉頭内腔に浸潤する場合には,浸潤程度に応じて喉頭部分切除術や喉頭全摘術が適応になるとしている[2]。

甲状腺被膜外浸潤例であっても,摘出術にて断端陰性(R0)あるいは顕微鏡的遺残疑い(R1)症例は,肉眼的遺残(R2)に比べ良好な生存率が得られている(疾患特異的5年生存率:R0,R1,R2,それぞれ94.4%,87.6%,67.9%)[3]。喉頭浸潤例において根治性を維持し良好な生存率を得るために,喉頭を構成する軟骨への浸潤レベルを考慮した切除術が重要と思われる。喉頭は甲状軟骨と輪状軟骨,さらに披裂軟骨,小角軟骨から構成されているが,喉頭浸潤の多くは,甲状軟骨輪状軟骨の外側面からの浸潤である。その浸潤範囲から,①甲状軟骨外板への浸潤,②輪状軟骨への浸潤,③輪状甲状間膜からの浸潤,さらには④甲状軟骨内板より内側の外側輪状披裂筋などの内喉頭筋への浸潤,⑤喉頭内腔粘膜への浸潤が想定される。甲状軟骨外板までの浸潤であれば,本症例のように甲状軟骨前方正中のフレームを残すことにより,甲状軟骨外板のほぼ半切まで切除することで根治性と喉頭機能の保存は可能であると考えられる。一方,輪状軟骨への浸潤例については,全周の輪状軟骨のリング状の連続性が保てなくなると狭窄のリスクを伴うため,機能温存には輪状軟骨のシェービングまでが適応になると思われる。また,甲状軟骨内板を超えた内喉頭筋や喉頭内腔粘膜への浸潤では,喉頭垂直部分切除や喉頭全摘術の適応と考えられる。

本症例では予防的気管切開術は行わず,術後に気道狭窄はなく経過した。喉頭への腫瘍浸潤症例では,気管切開術を行うか否かの判断は重要であり,術後のQOLにも影響する。喉頭の切除範囲に応じて気管切開術を考慮する必要があり,甲状軟骨の50%あるいは輪状軟骨の30%を超えなければ気管切開術は必要ないと考えられる[13]。また,喉頭内腔に手術操作の及ぶ喉頭部分切除術症例では術後浮腫や出血から気道狭窄のリスクがあり,気管切開術を要すると考えられる。

喉頭部分切除後には嚥下障害を生じるリスクがあるが,本症例では,喉頭機能が保存できたため嚥下機能についても経過は良好であった。気管切開術施行例や反回神経麻痺を生じた症例では,経口摂取開始には慎重な嚥下機能評価を要する。反復唾液のみテストなどの簡易検査,あるいは嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査での嚥下機能評価が望まれる[14]。

甲状腺手術において術中神経モニタリング(IONM)は非常に有用なツールであることが認識され普及してきている。反回神経や上喉頭神経外枝の検索に有用であると共に,神経麻痺リスクの高い甲状腺悪性腫瘍手術時には,IONMを行うことで反回神経麻痺発生率を下げる傾向があることが示されている[15]。今回の手術にて喉頭外および喉頭内においても反回神経の走行と反応性を確認し,腫瘍摘出後にも反回神経が健全であることが確認できた。術前プランニングにて,反回神経を合併切除せざるを得ない場合も想定していたが,幸いにも術中神経モニタリングにて反回神経の健全性を確認し保存することができた。甲状腺癌の喉頭浸潤を認める症例においても,反回神経麻痺のない症例では,術中神経モニタリングは有用なツールと考える。

おわりに

術前に反回神経麻痺はなく,甲状軟骨に浸潤する甲状腺乳頭癌の一例を経験し,手術にて甲状腺全摘術および喉頭枠組みを切除する喉頭部分切除術を行った。術中神経モニタリングを用い,喉頭部分切除側の喉頭内外の反回神経走行を確認の上,反回神経および喉頭機能を温存することができた。甲状腺乳頭癌は,症例により術後も長期予後が見込めるため,喉頭浸潤例に対しては根治性と共に特に術後の音声機能,嚥下機能を犠牲にしないQOLを考慮した術式の選択が重要であると考える。

【文 献】
 
© 2024 一般社団法人日本内分泌外科学会

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