理論と方法
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原著論文
時間遅れのある伝播モデル
七條 達弘
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1998 年 13 巻 1 号 p. 75-91

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抄録
 Weibull(1995)は、進化ゲーム理論の模倣モデルとして、新しいタイプの伝播モデルを作った。従来のモデルと違い、利得の概念を持ち込むことによって、このモデルは、二つの文化要素が共存する状態を記述することができるようになった。また、利得から伝播方程式を導くので利得を変えることによって、多様な社会現象を説明することもできる。
 しかし、二つの文化要素からなるWeibull(1995)の伝播モデルにおいては、それまでの伝播モデル同様、片方の文化要素がいったん広まってすたれるという山型の動態や、片方の文化要素を採用する人の数が振動する周期的な挙動をモデル化することはできない。また、実際には、現時点の社会状態を知ることはできず、常にわずかに前の状態しか知ることができない。そこで、本稿では、今まで無視されてきた時間遅れという要素をモデルに組み込むべきであると主張する。これによって、自然に山型や周期型の挙動を表現することができる.そして、この時間遅れのある伝播モデルを使って、山型の社会現象であるバブル現象や、周期型の社会現象である流行現象を説明するモデルを構築し、情報が正確になるほど社会が不安定化するというインプリケーションを得た。
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© 1998 数理社会学会
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