理論と方法
Online ISSN : 1881-6495
Print ISSN : 0913-1442
ISSN-L : 0913-1442
原著論文
なぜ民主制が求められるのか
明治初期における地租変動と自由民権運動の関係から
劉 国翰
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 21 巻 1 号 p. 77-91

詳細
抄録
自由民権運動を起こした経済的背景について、「農民的商品経済論」と「中間地帯論」の矛盾がある。本論は、明治初期の地租変動と自由民権運動の地域特徴との関連性から、その矛盾を解決することを目的とする。明治初期の経済が移行経済であったという仮説を立て、地租の動学的な調整プロセスを描くモデルを作成した。また本論は明治8年から20年にいたるまでの26府県における世帯当たりの地租税収のデータを整理し、非線型回帰を通じて、各府県における農民的商品経済の発展度合いを反映するパラメーターα(生産要素の移動速度)とθ(生産要素の移動コスト)の値を推定した。結果として、激化事件だけに注目すれば「中間地帯論」がより適合しているが、自由民権運動の全体を見ると「農民的商品経済論」がより説得力があると考えられる。
著者関連情報
© 2006 数理社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top