理論と方法
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特集 コモンズ問題の現代的展開—社会的ジレンマ問題をこえて—
地域再生事業にみるコモンズ問題の解決
小池 心平中井 豊
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2014 年 29 巻 2 号 p. 293-307

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抄録

 「共有地の悲劇」以来,コモンズ管理は社会的ジレンマとして位置づけられ,フリーライダー問題と利害関係者による自主管理の可能性が議論されてきた.しかし,日本社会におけるコモンズ管理の現状は,人口減少や高齢化により利用者が減少しコモンズが放棄されてしまう新たな問題に直面している.
 本稿では,公共財供給ゲームにおける非参加戦略を用いて,コモンズ管理においてフリーライダー問題を内包しつつ過疎化によりコモンズが荒廃する状況を定式化した.また,地域活性化に協力的な移住者に着目し,移住者と地域住民がコモンズ管理の枠組みの外で地域資源を活用する地域再生事業のモデルを提示した.フリーライダーと過疎化の問題を同時に解決しうる地域再生事業の条件を整理し以下の点を明らかにした.共同事業の収益性に関わらず,少数の移住者と多数の地域住民による共同事業だけがコモンズの維持と過疎化対策に寄与する.地域住民への公的補助の増額は移住を促進するが,地域内で移住者をフリーライダーに変え,再び共有地の悲劇が生じる.

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© 2014 数理社会学会
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