抄録
継続調査によって社会の変化を捉えるための有力な方法であるコウホート分析法について述べた。コウホート分析では、継続調査で得られる年齢×時代形式のデータの変動を年齢・時代・コウホート効果に分離しようとする。ただし、コウホート分析には識別問題が存在し、3効果を一義に分離することは不可能であると指摘されていた。本稿では、識別問題を克服するために、パラメータの漸進的変化の条件を取り入れ、ABIC(赤池のベイズ型情報量規準)により最適モデルを選択するベイズ型コウホートモデルについて解説した。このモデルによれば、欠測年を含むデータや年齢区分幅と調査間隔が一致しない一般コウホート表データも容易に分析できる。比率型の3効果モデルを中心に、年齢効果を年齢×時代効果に拡張した交互作用効果をもつモデル、また数量型モデルについても説明した。適用例として、SSM調査(社会階層と社会移動全国調査)データの分析結果を示した。