理論と方法
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特集 変化をとらえる
職歴研究における移動と時間
 
都築 一治
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1989 年 4 巻 2 号 p. 2_25-2_40

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抄録
 従来の職歴研究の多くは、変わりゆく現職を分析対象としながらも、その変化を十全に捉える方法を持たなかった。永く、静的な計量分析技法による職歴移動分析が行なわれ続けてきたのである。ところが、1970年代の後半から職歴移動研究に動的な計量技法であるイベントヒストリー分析が用いられはじめたことによって、変化の基底となる時間が明示的に分析にあらわれ、対象と分析手法の隔たりが徐々にうめられつつある。この分折技法の進化は、日本におけるSSM研究にも影響を与えている。
 このように職歴分析において基底をなす時間と職歴移動との関連は、しかし、理論的には必ずしも十分に整理されているとはいえない。むしろ、われわれは時間と移動をめぐるメカニズムに無自覚なまま分析技法をデータに適用しているといえるような状態に近づいているのかも知れない。こうした点に鑑みて、本稿は職歴研究に登場するいくつかの時間関連変数を職歴移動との関わりのメカニズムに基づいた整理を試みている。ここでは、個々人と職業的地位のマッチングの変化がその他の要因から独立にある場合を時間と移動との関わりが‹無媒介的›であるとし、時間経過が第3の要因の変化をともない、それが移動に影響を及ぼす場合を‹媒介的›な関連として区分し、それぞれのメカニズムに対応する時間関連変数と職歴移動との関連をデータをもとに検証した。
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© 1989 数理社会学会
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