理論と方法
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特集 フォーマル・セオリー
ダイグラフによる役割モデル
─役割概念のフォーマライゼーションをめざして─
三隅 一人
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1991 年 6 巻 2 号 p. 2_3-2_19

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抄録

 役割の概念はさまざまな理論分脈で多用されてきたにもかかわらず、役割理論としての蓄積は乏しい。本稿はS. F. Nadelによる役割の内部構造に関する議論をもとに、役割概念をダイグラフによって定式化し、それによって当概念の明確化を図ることを目的とする。
 まずNadelの着想にしたがい、役割の内部構造として、中枢タイプ、関連タイプ、周辺タイプという3等級が含意関係によって結合された階統構造を想定する。それをタイプを点とし、含意関係を矢とするダイグラフで表し、さらに強連結成分をなすタイプをひとまとめにする「縮約」のルールを適用して、役割を簡潔なダイグラフで定義する。それを基準として、役割ではないが役割に関連したさまざまなダイグラフを、3つに類別する。その中で役割複合に着目し、それを3つの複合パターンを識別した上で、それらの双方的な組合せから役割の内部構造変質の3パターンを一般的な水準で抽出する。

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© 1991 数理社会学会
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