理論と方法
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特集 フォーマル・セオリー
仮想社会における原初的階層化プロセス
都築 一治
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1991 年 6 巻 2 号 p. 2_21-2_36

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抄録

 本稿は、行為者に資源取得の規則を仮定した仮想的な社会モデルの構成を目的とする。前半では、この社会の構造を記述し、後半では、この社会で成立した資源配分の安定性について論じる。この仮想社会における行為者の資源取得量は、資源取得の順位によって規定される。資源取得順位によって決まる資源配分は、下位の行為者の‹闘争›によって変更可能だが、‹闘争›を起こすには一定の条件が必要となる。いったん成立した階層的資源配分は、局所的な、‹闘争›による資源再配分が波及することで変化しうるが、この社会モデルからは、この波及が生じる条件は、局所的な資源再配分がなされた行為者からの順位の隔たりに応じて規則的に変化すること、資源配分変化の影響は比較的狭い範囲に限定されること、上位者への波及の仕方と下位者への波及の仕方が、モデルのパラメターの値によって異なること、などの関係が導かれる。

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© 1991 数理社会学会
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