理論と方法
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特集 政治への数理・計量的アプローチ
交渉者はタカ派か中道か
―「二層ゲーム」における交渉者選択過程―
飯田 敬輔
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1994 年 9 巻 1 号 p. 3-20

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抄録
 国際交渉と国内政策決定過程のモデルを融合するという目的で提出された「二層ゲーム」の理論では国内行為者の選好を国際合意に反映させるメカニズムとしておもに「批准」というプロセスに焦点が当てられてきた。しかしこれと同じ目的を達成するためには、交渉に先だって国内行為者が交渉担当者を選択するというプロセスも考えられる。本稿はダウンジアンモデルの変形とルービンシュタインバーゲニングモデルを組み合わせることにより、交渉者の選挙過程によっていかに国内行為者の選好が国際交渉に反映されるかを分析する。このモデルによれば、交渉力を高める目的で「中道」の選挙民が「中道」ではなく「タカ派」の交渉者を起用する「可能性」があることが分かり、このような「非直観的」結果の必要条件も明らかになる。
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© 1994 数理社会学会
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