北ヨーロッパ研究
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論文
グロントヴィ主義における教会との宗教衝突と政治
ノルウェーの事例より
田渕 宗孝
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 7 巻 p. 1-11

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抄録
グロントヴィ主義は北欧諸国に19世紀に広がり、各国は各自の社会背景の中からグロントヴィ主義およびフォルケホイスコーレを展開していった。 本論ではノルウェーを対象とし、教会とグロントヴィ主義の関係に焦点を当て、デンマー クの事例との差異を示す。その手掛かりに、教会形態とナショナリズムの関係に注目したトルキルセンの理論に言及する。トルキルセンの手法は、グロントヴィ主義を単なる特殊事例ではなく、北欧での近代化の多様性を浮き彫りにする一要因として位置付けることを可能にする。ノルウェーでグロントヴィ主義が受容され始めたのは1840年代中ごろ以降であるが、国家教会からの圧力でグロントヴィ主義者は教会に居所を見つけられず、フォルケホイスコーレも地元の信仰心の強い住民たちとの衝突を経ねばならなかった。だがそこで政治は対立に対処するための重要な手法となった。それはデンマークではあまり見られない特徴である。
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