脳と発達
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症例報告
抗血小板薬の選択に血小板凝集能検査が有用であった再発性特発性脳梗塞の小児例
杉山 延喜松田 晋一清水 美衣小原 さおり池上 真理子横山 淳一宮下 好洋瀧澤 俊也高木 繁治
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2009 年 41 巻 1 号 p. 47-51

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抄録

 症例は5歳男児. 5歳1カ月時に歩行障害を主訴に受診し, MRIにて右視床と左小脳半球に梗塞像を認めた. 脳梗塞の原因精査のため血液凝固能検査, MR angiographyなどを施行したが異常はなく, 特発性脳梗塞の診断でticlopidine hydrochlorideの内服で外来経過観察となった. Ticlopidine hydrochlorideの内服中であったが, 発症4カ月後に再度歩行障害が出現し, MRIにて左右小脳半球に新たな梗塞像を認めた. 再度精査を行うも原因不明であり, 血小板凝集能検査を施行した. Adenosine diphosphate凝集は抑制されていたが, コラーゲン凝集の亢進を示した. そのため, コラーゲン凝集を抑制するとされているaspirinを併用したところ, 血小板凝集能の抑制を認め, 以後4年間にわたり一過性脳虚血発作を含め脳梗塞の再発は認めていない. 抗血小板薬を選択する際には血小板凝集能検査を行い, どの種類の抗血小板薬が血小板の凝集を抑制するかを判断することが必要と考えられた.

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© 2009 一般社団法人日本小児神経学会
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