脳と発達
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総説
脳性麻痺の考え方
横地 健治
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2009 年 41 巻 5 号 p. 327-333

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抄録

 脳性麻痺の成因・病巣・症候についての近年の知見を述べる. 新生児仮死に起因するアテトーゼは, 視床VL核・被殻が主病巣であり, 拮抗筋の過剰収縮と過剰連合運動が本質的な問題と考えられる. 視床VL核病変例では, 見かけ上の不随意運動のない軽症例もある. 脳室周囲白質軟化では, 多様な下肢肢位パターンをとり, 失調, 動作時過開口, 振戦もみられる. 多様な中枢性視覚障害・視覚認知障害や突発的に眼球下転する異常眼球運動もみられることがある. 痙性両麻痺の乳児期早期の診断は, 膝分離伸展・下肢挙上の欠如により可能となる. 一側中大脳動脈梗塞と出血後静脈梗塞から片麻痺がもたらされる. 新生児仮死は境界域梗塞型障害ともなる.

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© 2009 一般社団法人日本小児神経学会
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